ペット可物件に入りたいけど他よりも高いの?費用の目安はどのくらい?
[公開日]2017/07/10 [最終更新日]2017/09/25 賃貸物件,物件探し,ペット,家賃
すでに家族の一員としてペットと暮らしている方だけでなく、これからペットと一緒に生活したいと考えている方も多いでしょう。
とくに一人暮らしの場合、ペットは支え合って生きていくパートナーであり、大切な存在となるはずです。
しかし、ペットと暮らす物件を探す際に気になるのは、通常よりも多くの費用がかかるのではないかということです。
そこで、一般物件との家賃水準を比較し、ペット可物件の入居時費用がどの程度多くかかるのか、また特別な費用はあるのかなど、金銭面に焦点をあてて紹介します。
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ペット可およびペット相談可物件の家賃水準
付加価値づけとしてのペット可物件
西武池袋線、練馬駅の賃貸マンションの登録情報数で比較してみます。
登録情報数 | 徒歩10分超の登録数 | 徒歩10分超の割合 | |
---|---|---|---|
トータル | 約6,000件 | 約2,700件 | 約45% |
ペット可相談可物件 | 約1,300件 | 約850件 | 約65% |
表から分かるように、ペット可相談可物件は駅から遠い物件の占める割合が多くなっています。
「徒歩10分以内」の「駅近」は優良物件の目安です。
駅から比較的遠い物件は優良物件と競争できず、空室が長期間続きやすくなります。
そのため貸主としては、部屋を改装したり設備を充実させたいところです。
しかし、それには多額の投資が必要となります。
その点ペットに関する制限を緩くすることは、付加価値づけとしては手っ取り早くできます。
そのような理由から、徒歩10分超のペット相談可物件の割合が多くなっていると言えるでしょう。
家賃水準
一般的にペット可・ペット相談可物件は、一般の物件よりも10~20%高いと言われています。
しかし実際の物件情報を見ると、明確に高いといえるものが意外に少ないことが分かります。
もちろん都心の分譲仕様の賃貸マンションなどの中には割高なものもありますが、ペット可という理由だけで高いとは言い切れません。
立地や間取り、設備が良くてかつ築浅の大型物件であれば、強気の家賃設定をするのは当然といえます。
一方で駅から遠い物件の場合、物件の価値を大きく左右する立地は変えられません。
そこで先述しましたが、少しでも借主がつきやすいようにペット可にしているのです。
このとき家賃をあまり高くしないのは、一般のペット不可物件との差別化を図るためです。
またお金をかけてペット可物件にしていないので、貸主としても敢えて家賃を上げることはせず、競争力をなくさないようにしているという見方もできます。
ペット共生型物件の家賃水準
家賃水準
ペット共生型物件とは、ペットと共に暮らすことを前提とした企画型賃貸です。
かぎられた不動産業者や専門会社が企画・開発した物件のため、数としてはまだ少ないです。
これらの物件は都心よりも郊外に多くありますが、家賃水準は一般的に15~20%高めの賃料設定となっています。
しかし、ペットとの快適な生活をするために工夫した設備をつけることで付加価値を高めています。
事例比較
JR常磐線、南千住駅の物件で比較してみましょう。
駅から徒歩15分、築13年の52㎡、3階建ての2階
家賃(共益費込み)147,000円、敷金2ヶ月分、礼金1ヶ月分
補足(ドッグラン、足洗い場、猫くぐり戸、ペット対応床材、ペット向けサービス付き)
駅から徒歩8分、築13年の50㎡、18階建ての4階
家賃(共益費込み)147,000円、敷金2ヶ月分、礼金1ヶ月分
補足(中層ながらもタワー型のデザイナーズマンションで空室待ちが出るほどの本気物件)
築年数と賃料など条件はほぼ同じです。
しかし、駅から徒歩8分の駅近で人気のタワー型マンションと比較すると、ペット共生型物件は駅から遠いにもかかわらず、家賃が高めに設定されていることが分かります。
ペット可相談可物件の初期費用水準
敷金・礼金
賃貸物件の一般的な敷金の相場は1~2ヶ月が主流です。
しかしペット可相談可物件は、さらに1ヶ月分を上乗せするケースが多いといわれます。
それは、ペットを飼うことによる室内の汚れやキズ、ニオイの原状回復費用が多くかかるためです。
また飼育に関するルールを守る保証金として、敷金を高く設定していることもあります。
実際にJR山手線、恵比寿駅の物件情報を例として見てみましょう。
↓
うちペット飼育時の「敷金積み増し条件あり」は9物件
物件情報に敷金積み増しの条件について記載されていないところもあります。
しかし、積み増しの必要がない物件は意外と多くありました。
積み増し条件ありの9物件のほとんどは、ペット飼育の場合に敷金が1ヶ月から2ヶ月に増えますが、なかには2ヶ月が3ヶ月になるところもありました。
通常の物件で敷金3ヶ月というのはほとんどありませんが、ペットを飼う場合には高い条件を要求される場合もあるのです。
ただ、礼金が上乗せされる事例はありませんでした。
これは、敷金のような合理的な説明ができないためと言えるでしょう。
敷金・礼金ゼロの物件は?
ペット可相談可物件でありながら、敷金・礼金を取らないところもあります。
JR中央線、三鷹駅の物件を例とします。
ペット飼育のときに敷金が積み増しとなるのは、あわせても5物件で、1ヶ月に増えるのが4物件、2ヶ月に増えるのが1物件でした。
また47物件のほとんどは、築30年程度または徒歩20分以上やバス便でした。
このように敷金・礼金がゼロの物件は、通常の募集で借主がつきにくいあまり条件のよくない物件なので、ペット可相談可の付加価値をつけてお得な設定としているのです。
その他の名目
恵比寿駅のペット可相談可物件情報の中には、敷金1ヶ月が償却されるものが2物件ありました。
この償却とは、借主に返還されないという意味です。
貸主の立場としてはこの方が望ましいといえます。
なぜなら敷金は、多く預かったとしても、それをすべて修繕費として取れるという保証がないからです。
その点償却であれば、退去時の汚れ、キズやニオイなどの原状回復費用をあらかじめ確保できるので、たとえ次の借主がペットを飼わない人だったとしても、安心して貸し出せます。
ペット可相談可物件の退去時費用
ルームクリーニングは通常3~5万円ですが、ペット可相談可物件の場合、ペット特有の汚れやニオイを取るためにその1.5~2倍の金額がかかる可能性があります。
また、引っ掻きキズがあれば壁紙の張り替えが必要となり、部屋の造りによるものの6畳で3万円程度はかかるでしょう。
ただしペット共生型物件であれば、壁の中ほどにモールディングという境目がついており、壁紙の下の部分だけの張り替えで済むので費用は半分ほどに収まります。
ほかにも、ペットの毛などが排水管に詰まっている可能性があるとして、特殊な機器と溶剤を使った洗浄作業を行う場合もあります。
このようにペットを飼うのであれば、通常の退去修繕より多額の費用がかかるのは覚悟しなければなりません。
まとめ
ペットと一緒に暮らすためには、どのくらいの費用が余計にかかるのでしょうか。
家賃相場が15万円とすると、ペット可相談可物件は、一般の物件より仮に1~2割増となった場合、毎月1.5~3万円、2年間の合計36~72万円を余計に負担しなければなりません。
また敷金積み増しとなった場合、入居時費用は15万円余計にかかります。
退去時に敷金の一部が戻ってくるかどうかは、修繕費の金額次第です。
クリーニング代は通常より1.5~2.5倍の約4.5~12.5万円、壁紙の張り替えを6畳2部屋行えば約6万円。
合計すると約10.5~18.5万円となります。
部屋の状況によっては、積み増した1ヶ月分である15万円近くかそれ以上となる可能性もあるでしょう。
先述したとおり、家賃や敷金が一般物件と同水準であったり、積み増しのないものも多くあることを紹介しました。
これらの費用が減って、負担を軽くすることができれば、借主としてメリットは非常に大きいものとなります。
しかし、このようなお得物件は、駅から遠い場所であったり、通常の募集でも借主が付きにくい、あまり条件がよくない物件の可能性があります。
これでは費用を抑えられたとしても、新しい住まいに満足いかなければ、ペットとの楽しい暮らしには適さないものとなるでしょう。
そうならないためには、ペット可相談可物件だけを見て比較するのではなく、一般物件の相場とも比較をしたうえで、物件の良し悪しや費用の両面から考えていくことが重要なのです。
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