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居住用物件を無許可のまま事務所として使用した場合、それが発覚した時の対応や対策について

[公開日]2017/04/18 [最終更新日]2017/09/25 ,,


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自分で事業を始めようとするとき、オンとオフが自由に調整でき、開業費用も抑えられるなどの点から、現在住んでいる賃貸住宅をそのまま仕事場にしようと考えることもあるでしょう。

この場合、事務所使用可能な物件に住んでいた場合は契約の変更のみで済むかもしれません。

しかし、居住用として契約していた物件を、新たに事務所として使う場合はいろいろな問題点があり注意が必要です。

そこで、まず住居と事務所の違いとは何かということに触れ、事務所として使用していると判断されるのはどのようなケースか、無断で使用していることが発覚した場合はどうなるのか、また、そもそも使用目的の変更を無断で行うことがなぜいけないのかについて説明したいと思います。

居住用と事務所用の違い

同じような賃貸物件でも、何をもって居住用と事務所用に分かれるのでしょうか。

まずは、不動産登記上の用途の違いです。
これは建物を建てた時に登記する事項で、途中で変更することもできます。

ほかには、賃貸借契約で定めた使用目的の違いもあります。
その物件をどのような目的で使うのか、あらかじめ貸主と約定しているのです。

上記によりパターンは分かれますが、契約での定めがより重要となります。

そのため、登記上では事務所用の物件でも、居住用として契約していた場合は、使用目的を変更する必要があるのです。

事務所使用に該当するケース

では、具体的に何をすると事務所として使っていると判断されるのでしょうか。

それは、ひとことでいえば、法人、個人、団体がその活動をするための拠点として利用した場合です。

その活動目的は営利・非営利に関係はありません。

例えば、設計事務所や税理士事務所などを開業したときは当然ですが、SOHOとして使うなど、それがたとえ小規模であっても事業拠点となっている場合は事務所と判断されます。

一方で、会社に所属し在宅で勤務をしている場合は、その会社の事業拠点ではないため、デスクワークの場所ということで事務所には該当しないといえます。

また、ピアノやお花などの各種教室を開く場合は解釈が分かれます。

広く生徒を募集していたり表札を出していれば事業拠点となりますが、その規模や活動範囲によって個別ケースで判断されます。

無断で使用目的を変更することがなぜいけないのか

賃貸借契約上の使用目的は、貸主と借主が物件の賃貸を前提として定めていることです。

最初から事務所として使用する目的であれば、貸主は契約しなかった可能性もありますし、もっと高い賃料や敷金を受領していた可能性もあります。

これは、居住用よりも事務所用の方が一般的に賃料水準も敷金も高いことや、閑静な住宅を売りにしていた場合、事務所があることによって物件の価値を下げることになるからです。

また、貸主と借主だけの問題にとどまらず、部外者の頻繁な出入りなど、他の入居者の平穏な暮らしを脅かすような事態にもなりかねません。

これらのことから、無断で行えば契約違反となるため、事務所として使用する場合は事前に貸主への相談が必要となるわけです。

不動産業者にはどのようにして発覚するのか

事業所として住所登録しただけでは、すぐにわかることはありません。

しかし、貸主が何らかの情報を得て、調べて発覚するという場合があります。

その多くが、同じ物件の入居者からの通報やクレームによるものです。

表札などが出ていれば一目瞭然であるものの、見知らぬ人が多く出入りするのは、そこに住む人にとっては嫌なことです。

また、物品の運搬時の騒音や、来訪者とのトラブルなどもクレームとして情報が入る場合が多くあります。

その他では、インターネットの普及により事業者情報が簡単に調べられるようになっていることから、発覚する可能性が高くなっているともいえます。

これは、貸主が疑わしく感じたときに、ネットで住所検索をすることで、事業拠点になっていたことがわかるケースです。

その団体の活動が目立たない場合はわかりにくい側面もありますが、宗教団体や風俗系の事務所などについては、少しでもおかしな点があれば入居者に敏感に察知されます。

あの部屋は何をやっているのかと疑いが出てくれば、すぐに情報も広がるので、監視の目はさらに厳しくなるでしょう。

この点からも、長期間にわたってバレないケースは少ないと考えるべきです。

事務所使用が発覚した場合の対応

事業内容、近隣への影響、また貸主の考え方による違いはありますが、いずれにしても契約違反によるものなので、他の入居者へ迷惑がかかる場合には退去させられることもあります。

ただし、無断で事務所使用したからといって、すべてのケースですぐに貸主が契約の解除をできるわけではありません。

賃貸借契約の当事者の信頼関係が著しく損なわれたと認められる場合にかぎり、法律で定められた契約解除に該当するのです。

対応としては、借主がすぐに応じるかどうかは別問題ですが、貸主が退去を迫ることもあります。
あるいはクレームの発生や物件価値の下落を理由に、損害賠償請求の訴訟を起こすことも考えられます。

また、違う目的で使用したことによる汚損や損耗を理由に、通常使用時よりも多額の費用を請求をされることも覚悟しなければなりません。

たとえ、事務所としての使用が受け入れられたとしても、賃料や敷金を事務所並みの金額に増額要求されることになるでしょう。

このように、よくても金銭的負担増であり、最悪の場合は契約解除による明け渡し訴訟を起こされるということです。

まとめ

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ここまで居住用物件を無断で事務所として使用する場合について説明してきましたが、最後に本来はどうするべきかについても触れておきます。

まず、必ず事前に貸主に相談することが大切だということです。

無断使用自体が、賃貸借契約で最も重要な信頼関係を壊してしまいます。

そのため、借主の立場が非常に不利なものになるということを理解しておく必要があります。

また、仮に貸主に認められたとしても、他の入居者からのクレームなどにより、その場所で活動を継続することが困難となる場合もあります。

悪い評判が流れれば、事務所にとってマイナス影響が続くことになります。

結論として、堂々と活動するためには、事務所使用可能な物件へ転居することが最善の策であるといえます。

たとえ移転費用がかかっても、長い目で見れば成功への近道となるはずです。

そのまま家で仕事をする便利さや手軽さはとても魅力です。

しかし、それだけで無断で事務所として使用するなどという安易な判断をしないよう、慎重に検討していきましょう。


 

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