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公務員宿舎は減少し使用料も値上げ?公務員の引っ越し事情について解説します

[公開日]2017/12/05 [最終更新日]2018/10/01 ,


戦後のまだ住宅事情が悪い時代に、公務に携わる人の住居の確保のために公務員宿舎は生まれました(画像はイメージです)。

そして、その目的は果たされてきたと言えます。

しかし2011年(平成23年)3月に発生した東日本大震災を機に、被災地の復興財源確保の議論が活発となるなか、建設途中であった国家公務員宿舎の朝霞住宅などは、厳しく批判されました(平成23年12月1日建設中止が正式決定済み)。

そのため同年10月、当時の民主党政権で「国家公務員宿舎の削減のあり方についての検討会」が財務省に設置され、公務員宿舎の削減についての具体策が出されることとなったわけです。

そこで、国家公務員宿舎とはそもそもどのような住居なのか、あわせてその削減計画や公務員を取り巻く引っ越し事情なども詳しく説明したいと思います。

国家公務員宿舎とは

「国家公務員宿舎法」の定めにより、職務を能率的に遂行することで、国等の業務の円滑化を目的として設置されました。

宿舎には、全ての省庁の職員に貸与できる「合同宿舎」と、各省庁の職員に貸与できる「省庁別宿舎」があります。

維持管理を実施しているのは、合同宿舎が財務大臣、省庁別宿舎が各省庁の長です。

全体の約6割が省庁別宿舎で、そのなかでも最も多いのは自衛官用、次に国土交通省の地方整備局や海上保安庁職員用が多くなっています。

国家公務員宿舎の種類

国家公務員宿舎には、「公邸」「無料宿舎」「有料宿舎」の3種類があります。

そのほとんどを占めているのが「有料宿舎」で、全体の約9割となっています。

公邸

ニュースで「公邸」という言葉をよく耳にするかもしれませんが、内閣総理大臣や国務大臣、衆参両院議長、最高裁の裁判官など、立法、行政、司法の重要なポストの職員へ無料で貸与されるものです。

2011年(平成23年)の財務省データによると、約200戸程度あります。

無料宿舎

以下の職員に無料で貸与されるもので、2011年(平成23年)の財務省データによると全国に約1万8千戸あります。

  • 通常の勤務時間外でも、国民の生命や財産の保護のため、その官署の構内又はその近くに住まなければならない者(緊急事態に初動対応する職員、自衛官、刑務官)
  • 研究又は実験を継続的に行うため、当該施設の構内又はその近くに住まなければならない者(国立の研究所の研究員)
  • へき地にある官署又は特に隔離された官署に勤務する者(ダム管理所職員、自然保護官)
  • 官署の管理責任者であって、その官署内又はその近くに住まなければならない者

有料宿舎

以下の職員に有料で貸与されるもので、2011年(平成23年)の財務省データによると全国で約20万戸あります。

国家公務員に対する福利厚生の意味合いが強く、2011年(平成23年)の計画では、民間企業の社宅減少の動きに合わせる形で大きな削減対象になっています。

  • 職務上で国等の事務や事業の運営に必要な場合
  • 勤務地での住宅不足により職務に支障を来たすおそれがある場合

建物の概要

間取りや築年数

間取りは、1Rや1Kから、2K、2DK、3DK、3LDK、さらに4DKまでとさまざまです。

独身者の多くは1Rや1Kに入ることとなりますが、地方では3DKなどの広い部屋が割り当てられる場合もあるようです。

築年数もバラバラです。

ただ、2011年(平成23年)の時点で5年以内に築40年以上になるところが、全国で約21万戸あるうちの6万戸以上もありました。

さらに9万戸以上の建物が、震度6以上の大地震で倒壊の危険性のある「旧耐震基準」です。

それらは当然ながら建物が古く老朽化していますし、間取りや設備が陳腐化しているところも相当数あります。

入居できる宿舎の広さ

宿舎は25㎡未満から80㎡以上まで5つの規格に分けられています。

職員の等級によって入れる宿舎の範囲が決まり、上の等級の方になるほど入居できる宿舎の幅は広くなっています。

規格 平均面積
(間取り)
主な貸与者
(本省庁の場合)
総戸数に対する割合
(約21万戸)
a型
(25㎡未満)
16.7㎡
(ワンルーム)
独身 13.9%
b型
(25㎡以上55㎡未満)
46.1㎡
(3K)
世帯
(係長・係員)
30.9%
c型
(55㎡以上70㎡未満)
62.8㎡
(3DK)
世帯
(課長補佐・係長)
50.0%
d型
(70㎡以上80㎡未満)
74.8㎡
(3LDK)
世帯
(課長・課長補佐)
3.7%
e型
(80㎡以上)
96.2㎡
(4LDK)
世帯
(指定職)
1.5%

上記表を見ると、世帯用の55㎡以上70㎡未満のc型が、全体の約半数を占めていることが分かります。

入居の際に希望は出せますが、家族構成などに応じて割り当てられるため、もし気に入らない物件となると民間の住居を探す他ないようです。

設備

設備に関しては、公務員の間でも「当たり外れが大きい」と言われているように、築年数によって大きな差があります。

古い建物になると、和室3室とダイニングキッチンが「田の字」に並ぶ3DKであったり、風呂はバランス釜といわれる浴室内にむき出しのタイプなどもあります。

しかし新しい建物になると、最近の分譲マンションと同じような間取りや仕様であったり、オートロックがついているところもあります。

公務員宿舎削減計画(平成23年12月)

冒頭でも触れましたが、東日本大震災を機に、公務員は民間と比べても経費の無駄遣いが多いにもかかわらず待遇は優遇されているとの批判を受け、2011年の民主党政権の下、5年程度をめどに公務員宿舎を削減する計画が策定されました。

では、具体的にどのような計画内容で、削減の状況はどうなっているのか見ていきましょう。

【用途の限定と削減戸数】

  • 公務のために必要な宿舎に限定し、公務員の生活支援目的である福利厚生のためのものは認めない
  • 5年を目途に、全国の公務員宿舎数約21万8千戸のうち、1/4にあたる約5万6千戸の削減を行う
  • 東日本大震災の復興費用等の財源確保のため、5年間は、原則として新規建設は行わない
【入居が認められる職員の類型と必要戸数の見直し(総戸数約16万3千戸)】

  • 災害、テロ、経済危機、武力攻撃等の発生時に、各省庁が定める業務継続計画(BCP)等に基づき緊急参集する必要がある職員(約8万3千戸)
  • 転居を伴う転勤の頻度が高い、司法関係職員や国税職員(約5万2千戸)
  • その他居住場所がかぎられている職員(約2万8千戸)
【削減の具体策】

  • 東京都心3区(千代田、中央、港)の宿舎、および山手線内で、今後5年以内に築40年を超えるものは、危機管理要員等や緊急参集要員用を除き廃止
  • その他の地域の宿舎も、今後5年以内に築40年を超えるものは廃止対象を選定
  • 幹部専用宿舎は危機管理要員用を除き順次廃止
【被災者への提供】

  • 東日本大震災等の被災者に既に提供されているものは継続し必要に応じて追加

2017年(平成29年)5月時点での削減状況

財務省は、2016年(平成28年)度末には、当初の計画通り約5万6千戸を削減したと発表しました。

これにより、2004年(平成16年)度は全国で約24万5千戸だった公務員宿舎が、2009年(平成21年)度には約21万8千戸となり、さらに削減計画によって、2016年(平成28年)度末には約16万2千戸まで減少しました。

2004年からの約13年間で、約8万3千戸も減ったことが分かります。

しかし公務員の人数は、2004年(平成16年)度の約58万3千人からわずかしか減っていません。

そのため、公務員の住居環境は以前と比べるとより厳しくなったとも言えるでしょう。

公務員宿舎の使用料

使用料の値上げ

2014年(平成26年)、2016年(平成28年)、2018年(平成30年)のそれぞれ4月、3回に分けて使用料が値上げされています。

値上げ幅は一律ではありません。

地方部は賃貸相場との乖離が小さいため抑えられており、また単身赴任者の二重生活の負担を考慮して、単身者用の上げ幅も小さくなっています。

使用料収入の総額は、この値上げによって以前の約300億円から約500億円と約1.7倍になる見込みで、これらは宿舎に係る歳出を賄うこととしています。

東京23区の全体平均月額使用料

段階的な値上げによって、最終的に使用料はどれくらい変わるのでしょうか。

まずは東京23区内の宿舎全体の水準を例に、値上げ後の2018年(平成30年)4月以降と値上げ前の2013年(平成25年)で比較してみましょう。

区分 2018年4月~ 2013年 値上げ額
独身用 13,400円 8,600円 4,800円
世帯用
(係長・課長補佐)
48,100円 27,900円 20,200円
世帯用
(幹部)
116,300円 65,700円 50,600円

地方部の全体平均月額使用料(人口30万人未満の市町村で県庁所在地を除く)

では次に、地方の使用料も比較してみましょう。

区分 2018年4月~ 2013年 値上げ額
独身用 4,800円 3,700円 1,100円
世帯用
(係長・課長補佐)
17,500円 13,500円 4,000円
世帯用
(幹部)
35,600円 27,400円 8,200円

駐車場使用料(平面駐車場)

最後に駐車場です。

駐車場の使用料も宿舎同様に値上げされます。

地域 2018年4月~ 2013年 値上げ額
東京23区内 15,400円 5,000円 10,400円
人口30万人未満の市町村 3,300円 2,400円 900円

民間との違いは

上記のとおり、世帯用(幹部)が50,600円値上げされるように、駐車場を含めて東京23区内はかなり値上がりされていることが分かります。

しかし、それでも一般の民間賃貸住宅の家賃相場よりは大幅に安く、世帯用でも半額以下です。

さらに賃貸借契約ではないので、敷金や礼金、仲介手数料などはかからず、入居時の負担は引っ越し 費用程度で済みます。

これは民間と大きく違う点です。

ただし、民間賃貸のような借主保護の規定がなく、きれいに修理・清掃してから返すことが要求されるので、退去修繕費の負担が大きくなる可能性はあります

まとめ

先述したように、2011年(平成23年)財務省のデータによると、国家公務員宿舎全体の約9割が福利厚生的な位置づけ中心の「有料住宅」で、使用料がかなり低く公務員は相当優遇されていました。

それでも2010年(平成22年)の平均の貸与年数は意外に短く、世帯用でも4~5年となっています。

ただこれには理由があり、公務員は所得が安定しているためローンを組みやすいので、持ち家を取得しているからだと考えられます。

しかし2011年(平成23年)10月に出された削減計画によって、大きく変化することとなりました。

それは、「国家公務員宿舎は真に公務のために必要な宿舎に限定し、主として福利厚生(生活支援)目的のものは認めない」という方針のもと、大幅に減ることになったからです。

約6年間で5万6千戸を削減するなかで、退去を迫られて仕方なく民間の賃貸に引っ越しした方も多く、その生活には大きな影響があったでしょう。

そのまま入居している方にとっても、2014年(平成26年)4月からの段階的な使用料値上げにより、個人の負担が大きくなりました。

ただ他の方にとっては、それでも公務員が優遇されていると感じるかもしれません。

また公務員宿舎が大規模な災害やテロに備えた危機管理体制の整備などのために利用されるのであれば理解できるものの、その実態についてはとても分かりにくいと言わざるを得ません。

そのため、公務員宿舎に関する政策の成功の鍵は、国がまず財源の効果的な使い方について最適な策をしっかりと検討し、同時に国民への情報開示によって納得してもらうことでしょう。


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