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無許可営業や犯罪への悪用も!民泊で起きている事件・トラブルを解説します

[公開日]2017/09/11 [最終更新日]2017/11/14 ,


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「民泊新法」とも言われる「住宅宿泊事業法」の法案が2017年6月に成立し、2018年6月に施行されます。

これまで民泊を開業するには「旅館業法」における簡易宿所の「許可」が必要でしたが、この民泊新法では「届出」の形で可能となります。

加えて「ホテルや旅館」には該当しないため、住居専用地域でも営業することができ、今後ますます拡大していくと見込まれています。

しかしながら、現行法では「無許可営業」も多く、違法行為として摘発される例が少なくありません。

さらに最近では、民泊が犯罪に悪用されるケースもあるのです。

また身近な問題として、利用者のマナーの悪さによって発生するトラブルが後を絶ちません。

そこで、具体的にはどのようなトラブルや事件が民泊で起きているのか、いくつか事例を上げて紹介します。

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無許可営業での摘発事例

名古屋市交通局職員、無許可民泊で副業

市バス運転手の男性職員が民泊を営業していたとして、減給の懲戒処分となりました。

公務員が許可を得ずに副業を行うことは、当然ながら禁止されています。

この職員は、2015年10月から2017年2月までの約1年5か月の間、名古屋市中区のマンション2室で民泊を営業して、約830万円の売り上げがあったとのことです。

発覚するきっかけとなったのは、近隣住民からの「部屋にいろいろな人が出入りしている」という苦情でした。

マンション管理会社が市の保健所に連絡して調査した結果、この職員が旅館業法上の許可を得ておらず無許可営業と判明したため、行政指導が行われたということです。

民泊ホストの違反により運営支援会社が事業撤退

2016年6月、東京都港区の上場企業が、同年2月に参入を発表したばかりの子会社が行う民泊事業から撤退すると発表しました。

撤退の理由は、旅館業法違反の疑いで、子会社に対する警視庁捜査が実施されたため。

結局同年7月に、東京都港区の上場企業と子会社の2社、そしてその2社の役員ら6人が、民泊の無許可営業により旅館行法違反の疑いで書類送検されました。

大阪市で民泊ホストの3人(女性と夫婦)を書類送検

2016年4月、大阪市の女性と夫婦あわせて3人が、民泊を無許可営業したとして旅館行法違反の疑いで書類送検されました。

民泊ホストである女性と夫婦は、最大手の民泊サイトを介して宿泊客を見つけていました。

このサイトを利用しているホストが摘発されたのは、日本ではこれが初めて。

女性は2015年1月~2016年2月までの間で約450組のゲストから約840万円、夫婦は2015年6月~2016年2月までの間で約300組から約450万円をそれぞれ売り上げていました。

主に外国人向けで無許可営業しており、宿泊客には「DVDの無料レンタル」や「シャツのクリーニングサービス」などを提供するなど評判は良かったようです。

賃貸マンションで無許可民泊営業

2015年11月、京都市の賃貸マンションの44室中34室を利用し、観光客約300人を宿泊させたとして、東京都の旅行会社の常勤顧問、山形市の旅館代行業者役員、京都市のマンション管理会社社員の3人が書類送検されました。

摘発された3人は旅行や不動産の業界関係者ですから、知らずに無許可営業したとは考えにくいものです。

英国人男性を摘発

2014年5月、東京にある木造3階建ての自宅の一部3室ほか複数物件に観光客を宿泊させたとして、ホストの英国人男性が逮捕されました。

後に罰金3万円の略式命令を受けています。

保健所は再三にわたりこの外国人を訪ねて許可を取るように指導しましたが、この男性が従わなかったため摘発の対象となったようです。

無許可営業の把握方法

民泊の総数

2016年11月、日本の民泊物件数は40,000件を突破したと、民泊のデータ分析企業より発表されました。
これは実際に貸し出されている物件だけのデータで、しばらく稼働していないものは除かれています。

民泊の専門メディアによると、今後の予測として2017年10月には60,000件を突破すると見込まれています。

無許可営業、京都市の例

京都市の調査結果発表によると、市内にある民泊施設は2,702件で、そのうち無許可と推測される施設は1,847件の68%と、全体の3分の2にもあたります

京都市は、無許可営業1,260件の物件の所在地を特定したと発表しました。
これは全体が2,702件なので、ほぼ半数を特定したということになります。

市では引き続き、情報提供を求める要請文書を市長名で民泊仲介サイトの運営者に出すなど、所在地の特定を進めるとともに、旅館業法や建築基準法においても厳しい指導を行う見込みです。

無許可営業が判明する経路

厚生労働省の医薬・生活衛生局の調査結果によると、無許可営業が判明するのは「近隣住民あるいは宿泊者からの通報」がもっとも多いことが分かります。

2013年と2014年度の調査結果では全体の約45%と、住民からも実際に泊まった客からも、無許可営業は良く思われていないことがわかります。

続いて「保健所による巡回指導」で約37%、「警察・消防関係」が約17%と関係機関も厳しい目で見ています。

その他の民泊に関連した事件

窃盗犯グループの隠れ家に

2017年4月、東京都新宿区の賃貸マンションの一室に潜伏し、偽造カードを使いATMから現金を不正に出金していたとして台湾出身の男性3人が逮捕されました。

この部屋は旅館業法の許可を得ておらず、容疑者は仲介サイトを通じて宿泊の予約していました。

「家主不在型」の場合、宿泊者と面会しないまま部屋を提供するのが実態で、その多くが身元確認が不十分なうえ発見されにくいため悪用されたと言えます。

またホテルなどと違って、人の出入りを常にチェックできないため、第三者に無断で転貸される危険もあるでしょう。

覚醒剤入手の中継点に

2017年6月と7月、音楽プロデューサーら指示役を含む3人が覚醒剤の密輸および使用の容疑で逮捕されました。

アメリカからの密輸の際、東京都目黒区の民泊マンションの一室に知人男性宛てに送らせ、容疑者が不在票を回収し自宅に転送させていました。

容疑者の足取りがわかりにくいように民泊が悪用されたケースです。

自らが経営する民泊で犯罪

2017年7月、民泊に提供していたアパートの一室で宿泊者の女性に乱暴したとして、福岡県の男性が逮捕されました。

被害にあった韓国人女性は、インターネットで福岡市内の同アパートを旅行中の宿泊先として予約しており、宿泊後に韓国領事館を通じて警察へ通報しました。

このような民泊があると、安全な日本というイメージが崩れ、旅行客が減ってしまう可能性があるでしょう。

旅行者によるトラブル事例

  1. ゴミの分別をしない
  2. 基本的には民泊に宿泊している場合も、他の住民と同じようにゴミを出さなければいけません。しかし家主不在型の民泊では、ルールを守られないケースがとくに多く発生しています。

    事前に説明されているはずですが、日本の細かな分別が分からなかったり対応できず、可燃・不燃・ビン・カンも混ぜてしまうことがあります。

    このトラブルも、周りの住民やマンションの管理会社の苦情によって発覚することが多いです。

  3. 部屋の備品を壊すまたは持ち帰る
  4. 宿泊者に快適に過ごしてもらうため、また日本文化に触れてもらうためにと用意した、備品や伝統的な置物などが壊されていたというケースがあります。

    また、使い捨てのコップやお皿が持ち去られ、全てなくなっていたということもあるようです。

    これらは、ホストの「おもてなし」に対する心無い行為といえるでしょう。

  5. 共用施設をゲストが利用
  6. 比較的大型のマンションには、住民用の各種施設が整っているところがあります。
    たとえばラウンジやジム、大浴場や子供用プレイルームなどさまざまです。

    これらを、宿泊者の外国人が我が物顔で騒ぎながら利用しているとしたらどうでしょう。

    外国人は当然の権利として利用することを主張するでしょうが、マナーが悪かったり他の住民への配慮がなければ、逆に昔からの住民が嫌がって使えなくなってしまいます。

    これでは問題となるのも当然と言えるでしょう。

  7. 部屋の無断転貸
  8. 部屋の無断転貸、また貸しはルール違反ですが、外国人のなかには「なぜ悪いのか」という考えを持っている人が多いのです。

    「自分が借りたものなんだから、誰に使わせようと自由だ」ということですが、ホストとしても利用者以外の身元不明の人が入ることは、安全管理上も許可できません。

    先述したとおり、犯罪の場として利用されるリスクもありますし、利用者チェックを厳格にできる仕組みというのが急がれる部分です。

  9. 深夜の騒音
  10. 共用部分などで外国人観光客が大声で騒いだりするほか、ゲストルームで窓を開け放しているにもかかわらず音楽をかけたり、大勢を集めてパーティーをするなどの騒音問題はよく起こります。

    この騒音により、近隣の住民が寝付けず、睡眠不足で体調不良を訴えるケースがあります。

    また家主不在型の場合、周囲の住民が直接注意しに行こうと思っても、逆に強く言い返されることがあるので、それを恐れるあまり被害を受けても我慢しているのが現状のようです。

まとめ


ホスト側に問題のがある無許可営業については、各自治体の取り締まりが強まってきています。

保健所の巡回などによる違法な施設の把握と強い行政指導、悪質なものに対する摘発の動きは今後さらに増していくでしょう。

ただし民泊新法の施行によって、「届出」や「宿泊者の把握」など一定のルールを守れば民泊の営業が可能となるため、適法な民泊経営も増えてくると予想されます。

次に、民泊の犯罪利用の問題ですが、こちらはまず宿泊者の正確な把握が前提となります。

家主不在型であれば第三者にまた貸しされないような管理システムを構築することが、悪用の抑止につながるでしょう。

宿泊者のマナー違反については、利用前の確実な説明、滞在中の状況確認、問題が発生した場合の厳格な賠償請求、それらに対する事前の誓約など、運用面のしくみの強化が必要です。

ただ今回さまざまな問題を紹介しましたが、日本は今後さらに民泊を必要とする背景があります。

たとえば訪日する外国人観光客は増加の一途をたどっていますから、それに伴ってホテル需要が逼迫しています。

それには高齢化がすすんで単身者世帯が増え、ファミリー向けの一戸建てや共同住宅が空き室、空き家となる傾向がますます強まっているので、この問題の解決策となるでしょう。

また観光客自身も、普通のホテルより日本人との交流や日本文化に直接触れる体験のできる、特徴ある民泊を求めているのです。

現状は確かにトラブルが多い民泊ですが、これらの事情を踏まえると、やめてしまえば良いと簡単にいうことはできません。

ですから、日本においてはまだまだ歴史の浅い民泊ですが、外国人のニーズを満たし、かつ日本人の習慣や文化にもマッチするために、今後もしくみ面での継続的な改善が必要となるでしょう。

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