事故物件の現状と実態、これを避けるために気をつけるべきポイントとは
[公開日]2017/02/28 [最終更新日]2017/09/25 賃貸物件,トラブル,物件探し,家賃
不動産物件を探していると家賃が相場より極端に安いものを見かけますが、これはもしかしたら事故物件かもしれません。
事故や死亡事件があったワケありの物件の可能性があります。
家主はこれらの物件の扱いに困りますが、塩漬けにしておくわけにいかないため、通常の賃貸物件と同様な媒体で借主を募集しています。
一方借主としては、自ら望んで住む方もいますが、気持ち悪さや不安から敬遠する場合が多いでしょう。
そこで、そもそも事故物件とはどのようなもので、契約しないためには何を注意すればいいのかを、実際に住んだことのある方の調査結果とあわせて紹介したいと思います。
事故物件とは
明確に定義づけされているわけではありませんが、一般的には過去に孤独死、自殺、火災による死亡、他殺などの事件事故があった物件のことを言います。
自殺にはバルコニーなどからの飛び降りも含みます。
また、死亡確認が病院であっても、その部屋で起きたことが原因であればこれに該当します。
自殺や他殺の場合は発見の時期に関係ありませんが、通常の病死でかつすぐに発見された場合は含まれません。
そのため、孤独死は死後1日以上経過してから発見されたものを事故物件として扱われることが多いです。
心霊現象が起きるような場合(昔刑場だった場所など)は、建物が原因でなければこれに該当しないのであまり告知されません。
事故物件でも住みたいのはなぜ?
たとえワケありでも安い物件がいいという方はいます。
某住宅情報サイトの、事故物件に住むあるいは住んだことのある458人を対象とした調査結果を見ると、あえて探すという方が過半数を占めています。
その理由として、安いから、それ以外はいい物件だから、興味があったからなどが挙げられ、気にせず契約する場合が多いということです。
また、借りている方の約4割が、通常の相場の半額以下の家賃で住んでいます。
住み心地については、約4割が良かった、約2割が良くなかった、残りの方がどちらでもないと回答しています。
家賃が安い以外の良かった点として、駅から近い、部屋が広い、設備が充実しているなどを挙げる方が多いようで、事故を除けば良い条件の部屋を借りていることが分かります。
事故物件の告知義務について
不動産業者が事故物件について説明しなければならない期間や入居者の数など、法律や業界に明確な基準はありません。
しかし、これまでの判例をもとにすれば、自殺の告知期間は2年で、事故後2人目の借主には特別な事情がなければ義務はないようです。
また、その物件の隣の住民にも説明の必要はありません。
ただし、貸主が事故の事実を知っていた場合にかぎり告知しなければならないとされています。
殺人など、凄惨であったり近隣住民に広く知れ渡っているような事件の場合には、数十年経っても告知しているところもあります。
告知義務については、その事件事故を知っていたら契約をしなかったかもしれないなどの観点から判断され、契約締結への影響が重大であればあるほど長期間となりますが、人によってその基準も変わりますから、結局はあいまいで明確ではないのです。
先ほどの調査結果では、契約前に不動産業者から説明があったというのが約半数、説明はなかったが知っていたが約2割、住んでから初めて知ったが約3割でした。
告知義務がない場合、家賃もそこまで低くならないため、説明されなければ知らずに住んでいる可能性があるのです。
ほかにも事故物件とは知らずに契約する場合がある
先述しましたが、明確には2人目の借主への告知義務がないことから、事故物件の中には、まずは安い家賃の部屋を探している方や、賃貸管理会社の社宅として非常に安価な家賃で自社社員の希望者に数か月間住んでもらい、その後通常の賃貸物件として募集しているものがあります。
この場合も普通の物件として情報が出ているのでまったく分かりません。
そのため、告知されなければ知らずに住んでいる場合があります。
事故物件を避けるために気を付けるべきポイントや確認方法はこれだ
事故物件については、不動産情報サイトも含め広告の備考欄などに記載されている場合があるので注意して見ていきましょう。
『告知事項あり』、『心理的瑕疵あり』、『事故』といったキーワードがあれば注意が必要です。
『心理的瑕疵』には近隣に葬儀場や火葬場などの嫌悪施設や指定暴力団の事務所などがある場合も含まれます。
しかし、もっとも注意しなければならないのは、告知義務がある場合で隠されているケースです。
そのため、たとえ告知されていなくても心配な点が少しでもあれば、不動産業者に『過去に事件事故はありましたか?』と確認するとよいでしょう。
業者としては根拠のない答えはできないので、家主に確認して回答してもらうことができます。
また、前の入居者の退去理由や頻繁に入居者が変わる部屋なのかを聞くことでも、ワケありの一端を発見できる場合があります。
この件については、家主から任されている元付業者のほうがよく知っています。
その物件だけでなく、他の部屋での事故についても教えてくれる場合もあるので、気になる方は粘り強く聞いていきましょう。
そして、内見でも判断できることがあります。
まずは臭いです。
事故物件で酷い状態だった場所は臭いが取れないといわれています。
また、一部屋だけ不自然にリフォームされて綺麗になっている場合なども注意が必要です。
このようなときは、なぜこうなっているのかと詳しく聞きましょう。
不動産業者も後々のトラブルを避けるために正直に答えざるを得ないからです。
まとめ
減少しない自殺者と増加傾向にある孤独死は大きな社会問題ですが、賃貸物件でもこのようなケースは増える傾向にあります。
特に孤独死は、都市部の賃貸住宅に住んでいる隣人関係が希薄な人に目立っています。
現状を踏まえると、このような事故物件に出くわす可能性は今後も高まっていくと考えられます。
それでも多くの方はこのような物件を避けたいと思われるでしょう。
そのためには情報を集める段階で告知を見逃さないこと、そして不動産業者に事故物件でないことを確認することが重要です。
また、内見の際に自分の目でしっかりと見て、不自然なことがないか確認することで、より納得して契約することができるでしょう。