民泊も対象「京都市宿泊税条例」が可決、いくら課税されるかなど概要を徹底解説!【引越し大全】
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民泊も対象「京都市宿泊税条例」が可決、いくら課税されるかなど概要を徹底解説します!

[公開日]2017/11/14  


2016年、日本を代表する国際文化観光都市の京都に宿泊した観光客数は、過去最高の1,415万人にのぼりました。

ただ観光客の増加につれて市民の不満は逆に高まっており、「バスの混雑がひどすぎる」「市営バスは本来市民の足のはず」など、とくに公共交通機関の混雑が問題となっています。

2017年11月2日、京都市議会は全ての宿泊施設の利用者に対して「宿泊税」を徴収する条例案を可決し、2018年10月に施行される見通しです。

宿泊税条例は東京都、大阪府に続き全国で3例目です。

しかし、民泊も含めた「全施設対象」は初めてとなります。

そこで「京都市宿泊税条例」が施行されると何が変わるのか、その概要や宿泊税額、税金の使い道に今後の課題など、詳しく紹介していきたいと思います。

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宿泊税はなぜ導入されるのか

欧米の都市の中には、宿泊税を財源とした観光客の受け入れ体制を整備する事例が以前からありました。

しかし日本では2002年の東京都での導入が最初で、その後ほかの多くの自治体も検討しましたが、関係者の反対によってほとんどが実現していません。

京都市でも外国人旅行者の増加により、観光案内にかかるコストなど、受け入れに伴う財政上の負担が増している一方で、税収の増加にはつながっていないことが大きな課題でした。

そこで財政の自主性や安定性を高めるため、観光客への新たな課税負担のあり方について検討することとなったわけです。

2016年3月に策定したビジョン「はばたけ未来へ!京プラン」に基づき、「京都市に住んでよかった、住みたい、働きたい、訪れたい」と感じてもらえる「まちづくり」を前提に、新たな財源の議論が進められました。

そして、滞在時間が長い観光客は行政サービスを受ける機会が多く、宿泊施設から宿泊客の情報も把握できるため、宿泊税の創設は道理に合うと考え、2017年9月の市議会で条例案が提案されたということです。

京都市宿泊税条例の概要

納税義務者

ホテルや旅館、簡易宿所のほか、いわゆる「違法民泊」なども含めた、すべての宿泊者が対象となっています。

また、東京都や大阪府では宿泊料が1万円未満の場合は課税されないのに対し、京都市は対象となっています。

ただし学校教育法で定める修学旅行は課税免除となり、引率者を含めて宿泊税は課されません。

ではなぜ全国で初めて民泊も対象になったのでしょうか。

それは、京都市では2016年の民泊の宿泊者が110万人に達すると推計しており、民泊仲介サイトの全国登録数5万5千件のうち京都市は5,500件もあるということで、民泊利用者が旅行者の大きな割合を占めているからです。

税額

1人1泊につきいくらの税額が掛かるのか、また東京都や大阪府との比較をまとめてみました。

宿泊料 京都市 東京都 大阪府
1万円未満 200円 なし なし
1万円以上
1万5千円未満
100円 100円
1万5千円以上
2万円未満
200円 200円
2万円以上
5万円未満
500円 300円
5万円以上 1,000円

東京都や大阪府では、1万円以上1万5千円未満で100円、最大でも200円か300円なのに対し、京都市はそれよりも高い設定となっていることが分かります。

徴収者

特別徴収義務者となる旅館業者や住宅宿泊事業者は、宿泊者から税金を徴収しなければなりません。

ただ、徴収はかなりの負担となるため、京都市では少しでも軽減できるように事務経費の補助制度を検討しています。

税金の納入方法と税収見込み

特別徴収義務者が、集めた税金について毎月末日までに納入申告書を市長に提出し納入します。

税収は、初年度が19億円、その後は45億6千万円を見込んでいます。

税金の使い道

外国人旅行者を受け入れるための環境整備などに対応したサービスの充実を図るため、以下の施策に使うこととしています。

1.京都の魅力を実感できる取り組み 文化財保護や歴史的景観の保全、観光や文化の担い手の育成
2.観光客増加に対する受入環境の整備 観光客の安心・安全の確保、観光案内標識の整備、観光地トイレの拡充
3.京都の魅力の情報発信 国内外へのアピールの強化
4.その他の課題 京町家(1950年以前に京都市内で建てられた木造家屋のこと)の保存・継承、道路の渋滞や公共交通機関の混雑対策、違法民泊の適正化などへの取り組み

低額な宿泊客への重い負担

東京都と大阪府の場合、宿泊料1万円未満には税金が課せられませんが、京都市では宿泊料2万円未満に対して一律200円の宿泊税が掛かります。(上記「税額」を参照)

簡易宿所事業者の声は?

1泊2千円程度の料金で宿泊を提供する、あるゲストハウスの事業者は、1万円未満には課税されない東京都や大阪府との違いに驚いたそうです。

税額は同じ200円でも、1泊1万9千円では税率約1%なのに、2千円だと10%になってしまいます。

利用者のほとんどが若者の外国人旅行者ですから、安さを魅力として利用しているのに、宿泊税200円は実質値上げとなるので負担が大きいということです。

別のゲストハウスのオーナーは、「お金がない人でも京都を楽しみ、その素晴らしさと感動をSNSなどで世界に広めてくれている。そのような人達へ負担をかけるのはどうか」と述べています。

また課税されない大阪の簡易宿所と競争になった場合は勝てなくなるため、事業者側が吸収せざるを得ないという意見もあります。

京都市の見解は

たとえ宿泊料金が低くても、京都市の行政サービスは一定程度受けているわけで、すべての宿泊客に負担してもらうのが適当と判断しています。

高額な宿泊料金の方には高い税額を設定しており、負担能力に応じて段階を設けています。(上記「税額」を参照)

まずは全ての宿泊者に公平な200円の負担を求め、高額な場合には相応の負担を上乗せする設定をしたという考え方です。

違法民泊の実態

2016年5月の京都市の「民泊施設実態調査」によると、市内の民泊施設は2,702件で、そのうち無許可で営業しているとみられる「違法民泊」は1,847件で68%と全体の2/3にあたります。

市の調査により、違法民泊のうちの1,260件、全体のほぼ半数の所在地は特定しているとのことです。

市では民泊サイトの運営者Airbnb社に、民泊施設のリストの提出を市長名で要請しています。

今後も所在地特定を進めるとともに、旅館業法や建築基準法に照らして厳しい指導が行われる見込みです。

また違法民泊の適正化指導の強化に向け、これまで市が行っていた調査作業を、2017年度から民間業者のノウハウをいかし外部委託することになりました。

これにより市の職員は、本来の指導業務である営業の許可や中止に特化します。


違法民泊への課税と「民泊新法」の役割

課税は事業者頼み

京都市では民泊施設の全てを把握しておらず、また民泊仲介サイトのAirbnb社からも個人情報にあたるという理由で、施設情報は提供されていません。

この状況にもかかわらず、違法民泊への課税はどのように行なうのでしょうか。

宿泊税の納入は申告に基づくものです。

そのため違法民泊に関しては、いつ、どこで、どれだけ発生しているかつかめず、事業者の意思に任せるしかありません。

しかし違法民泊を行っている事業者は、納入した時点でそれがバレてしまいます。

課税の公平性をうたっている宿泊税ではありますが、この点は大きな問題を抱えていると言わざるを得ません。

京都市の対応は?

京都市では違法民泊課税への対応として以下の考えを示しています。

  • 来年の民泊新法の施行により、違法民泊については届出が進むとの見込みから、この情報をもとに対象施設を把握していく
  • 民泊新法施行後でも、届出や許可のない宿泊施設については、保健福祉局との連携によりその把握を強化する
  • 違法民泊をなくす一つの方策として宿泊税を使っていく

Airbnb社との連携

2017年10月、Airbnb社の公共政策責任者が京都新聞社の取材に応じ、以下のような見解を述べました。

  • 民泊への宿泊税の課税に関して、宿泊業者に代わってAirbnb社が徴収、納付する仕組みについて、日本やアジアで先例のない京都市との連携モデルをつくりたい
  • 米国では自治体と契約し、貸し手が納税作業の負担から免れられるよう、代理納付を行なっている

代理納付について積極的な姿勢を示しており、多くの宿泊施設を把握しているAirbnb社が行うことは課税促進につながるでしょう。

まとめ

「京都市宿泊税条例」の概要について説明しましたが、やはり税負担の公平性が保てるかが最大の課題となるでしょう。

違法民泊が現状のまま変わらないのであれば、課税逃れが多く起こってしまい、この制度の根幹を揺るがしかねません。

民泊新法の施行に合わせ、適正化が大きく進展することが望まれます。

京都市議会でも、この違法民泊の課税逃れに関する意見は多く出されており、市が宿泊税条例の見直しを5年ごととしたのに対し、市議会は1年半後の検証を求めました。

京都市はこの公平性確保に対して、条例施行によって国から与えられる税法上の検査権を使い、違法施設を減らしていく考えを示しています。

また民泊新法に基づき、市独自の民泊規制を条例で定め、厳しく対応していく方針です。

今後はAirbnb社との連携を含めてさまざまな方策を合わせて実施することも重要となります。

ただ最も大事なのは、「全ての宿泊者に公平に」という基本方針を、税負担者である世界中の「京都ファン」に理解してもらう「姿勢」であるといえるのではないでしょうか。

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