家賃や契約金のクレジットカード払いのメリット・デメリット!借主と貸主どちらがお得?
[公開日]2017/05/01 [最終更新日]2017/09/25 賃貸物件,家賃
クレジットカードでの支払いはどんどん増えてきています。
日常の買い物やネットショッピングだけでなく、携帯代や公共料金などでも利用できます。
最近では家賃や入居時の費用もクレジットカード払いができるところが少しずつ増えてきています。
しかし賃貸に住んでいる方のほとんどは、収納代行会社に手数料を支払って引き落としにしているか振り込みにしているでしょう。
それは一体どうしてなのか。
そこで、まずは法律における家賃の支払いについて触れ、クレジットカード払いにした場合の借主と貸主それぞれのメリットやデメリット、クレジットカード払い可能な物件が増えない現状について説明したいと思います。
家賃の支払いにかかる手数料について
家賃の振り込みや引き落とし時にかかる手数料を、払うものだから仕方ないと何の疑問もなく借主は負担しているかもしれませんが、そもそもこれには決まりがあるのでしょうか。
それは民法484条で定められています。
持参債務といい、特定物品の売買契約以外で金銭債務などの契約においては、債権者の住所で支払うことになります。
当事者間で違う取り決めがある場合を除きますが、家賃は金銭債務にあたるため、本来であれば借主が家賃を貸主のところまで持っていき支払わなければなりません。
そのため実際は振り込みや引き落としが多いですが、借主が手数料を負担することになります。
手数料分を差し引いて振り込むことは、当然ですが認められません。
なぜクレジットカード払いができないところが多いのか
最大の理由は貸主がクレジットカード会社に手数料を支払いたくないからです。
まず家賃や入居時の費用をクレジットカードで決済するためには、貸主がクレジットカード会社と提携し加盟店手数料を支払う必要があります。
賃貸物件は一般の商品販売のように、客数や客単価の増加がなかなか見込めません。
そのため賃貸業の加盟店手数料は他の業種よりも若干高くなっています。
その理由は後述します。
賃貸業の利益は約5%~15%で、建設資金の返済、税金、維持管理費、修繕費、広告宣伝費を差し引くと多くは残りません。
そのうえカード会社へ手数料を支払うとなれば大きな負担になります。
さらに本来であれば借主が負担する家賃を、手数料という形で貸主が一部負担しているようなものなので、なかなか増えていかないというのが現状です。
クレジットカード払いのしくみ
では入居費用や家賃のクレジットカード払いはどのように行われるのでしょうか。
現在はオンラインカード決済システムを利用した方法が主流です。
借
主の携帯電話あてにSMSでURLを送り、カード情報などを入力してもらって決済する仕組みです。
この方法であればメールアドレスを知られることはありませんし、実際にクレジットカードを渡す必要もないので借主も安心して利用できます。
貸主側にとっても、読み取り機が必要ないため導入時の初期コストがからないという利点があります。
借主にとってのメリット・デメリット
まず借主のメリットとして、契約時の入居費用を振り込みの場合も含めて多額の現金を用意しなくてもいいことが挙げられます。
また毎月の家賃の引き落とし時は、現金の銀行振り込みなどの手数料が必要ありません。
支払い期限をうっかり忘れることもなく、毎月銀行のATMなどに出向く手間を省けます。
さらにクレジットカードのポイントもメリットになります。
家賃7万円の賃貸でポイント還元率0.5%のカードであれば、年間4,200円分のポイントが得られます。
カード会社によっては還元率がもっと高いところもありますから、ポイントを考えれば現金払いよりもどんどんお得になるでしょう。
しかしデメリットもあります。
それは使えるクレジットカードが指定され、現在もっているカードが使用できない場合です。
持っていなければ新たに作らなければなりませんし、入居費用の振り込み期限にカード作成が間に合わないことも考えられます。
また、カードによっては月々の家賃にはポイントがつかなかったり、1%~3%程度のカード決済手数料を取られることがあるので注意が必要です。
1%の決済手数料でも、家賃7万円の賃貸であれば700円ですから、ポイント還元があってもマイナスになる場合があるでしょう。
現在ネット振り込みであれば他行でも振込手数料が約100円~400円ですから、クレジットカード払いの方が損をすることもあリ得ます。
そのため、手数料やポイントなど現金振り込みとよく比較してクレジットカード払いにするか決めましょう。
貸主にとってのメリット・デメリット
貸主の最大のメリットは、カード決済されればクレジットカード会社から確実にお金が支払われるという点です。
ただし、借主の口座に残高がなくカード会社が引き落としできない場合には、その後の決済ができない場合があります。
この時は振り込みをしてもらわないといけません。
また、契約時の入居費用を用意していない方でも、カード払いができれば契約してもらえるかもしれません。
他の貸主の同じような物件であれば、カード払いが決め手となり入居率が上がります。
ほかにも、現金で振り込まれる場合は入金を確認する手間がかかります。
振り込み額が違えば、もう一度請求しなければなりませんし、場合によっては返還したりと人手をかけなければなりません。
クレジットカード払いであればその必要がありません。
逆に貸主のデメリットは、先述しましたが加盟店手数料による収入減です。
貸主が負担する加盟店手数料はおよそ3%~7%です。
大型店舗の家電量販店やデパートは1%~3%、一般の小売店で3%~5%ですから、他の業種よりも高く設定されていることが分かります。
高く設定される理由は、家賃が一度回収できないと毎月滞るケースが多く、回収できない貸し倒れリスクが高いからです。
入居率が高い物件であれば問題ありませんが、この加盟店手数料が大きなデメリットとなることが多いです。
まとめ
もし、加盟店手数料が大手家電量販店やデパート並みになれば導入する貸主も増えてくるでしょう。
そのためには賃貸借契約の家賃債務の回収リスクが低くなることが必要ですが、すぐに変わることは現実的ではありません。
現在は貸主が預かる敷金が少なくなっているので、保証会社が貸主に対して家賃を保証しています。
カード払いが一般化するためには、家賃保証は誰がするのかということを考えていく必要があります。
この問題が解消しクレジットカード会社の回収リスクが減っていけば、手数料も下がりクレジットカード払いが一般的になるはずです。
そうすれば、クレジットカードの決済手数料がなくなりポイント還元率も上がって借主のメリットは増えます。
また、加盟店手数料が下がって入居率が上がれば貸主のメリットも増えるので結果的にWIN-WINとなるでしょう。